広島県内土砂災害被災地調査

8 月 19 日(日)・20 日(月)、広島県内の土砂災害の被災地を、広島建設工業会の檜山会長のご案内で調査しました。

初日の 19 日(日)は、まず、呉市川尻地区の水道ポンプ施設の被災箇所を訪れました。
大量の土砂や岩塊が流下してきて、川沿いのポンプ室・電気室・発電機室などが根こそぎ持って行かれており、急遽別の場所に応急仮設ポンプが設置されていました。土石流のもの凄いエネルギーを痛感しました。なお、水道の関係者からは、復旧にあたって地元負担ができるだけ小さくなるよう要請を受けました。

続いて、呉市の天応地区、坂町の小屋浦地区に伺いました。
ここからは、中国地方整備局の川崎局長、若林河川部長、本省大臣官房付けで中国地整に派遣されている岩崎さんにも合流していただきました。

天応地区は 10 名、小屋浦地区は 15 名という多数の犠牲者が出ています。この両地区は「土砂洪水氾濫」という私自身も初めて聞く形態の土砂災害で被災しており、マサ化した土砂がこれまで経験したことがないほど大量に流下してきて河道を埋め尽くし、さらには河道沿いの家屋の軒先の高さまで堆積し、家屋内にもおびただしい量のマサ土が流入しており、大変驚きました。

天応地区は中国地整が、小屋浦地区は県が、いずれも砂防の災害関連緊急事業で復旧に取り組んでおり、すでに河道内に堆積していた土砂の除去は終わっていましたが、家屋内の土砂の除去は進行中で、いずれの現場でも地域の建設業の皆さんが土砂の除去や災害ガレキの除去などに重機を駆使して頑張っていました。 なお、これらの被災地では、全壊家屋が多いため、地域を今後どのように再生・再建していくのかが大きな課題であると考えられました。

続いて、坂町の水尻地区に伺いました。広島呉道路の盛り土部が崩れて JR 呉線の水尻駅に流れ込み、高速道路も JR も通行止めになっていた箇所です。広島・呉間では国道 31 号は復旧しましたが渋滞が著しいため、NEXCO 西日本に頑張っていただき、高速道路の早期復旧をお願いしたいと思います。 なお、あらかじめ 4 車線化していればもう少し早期に復旧できたのではないかと考えさせられました。

続いて、坂町の総頭川地区に伺いました。こちらも中国地整が直轄の災害関連緊急事業で実施しており、河道内の埋塞土砂はすでに除去されていました。なお、上流部に足を運ぶと、まだ橋梁に大量の流木が堆積している箇所が残っており、その凄まじさに驚きました。

20 日(月)、まず広島市安芸区矢野東地区の被災現場に伺いました。ここでも 12 名の方が犠牲になられましたが、開発された住宅団地の中を流れる急勾配の渓流に巨大な岩塊がゴロゴロ溢れ、川沿いの家屋に大きな被害を与えている状況に驚きました。

続いて、熊野町川角地区の被災現場に伺いました。地元の三村熊野町長、広島県から山本砂防課長にお越しいただきご案内いただきました。 ここでも 12 名の方が犠牲になられました。こちらは巨大な土石流が複数発生しており、コアストーンと呼ばれる 5m をゆうに超える信じられないぐらい巨大な岩石がおびただしい数流下してきて、それによって開発された団地の住宅を約 20 棟、根こそぎなぎ倒し大きな被害を発生していました。
斜面のはるか上には、巨大なコアストーンが大量に分布しており、現在も避難指示が発令中です。平成 26年の広島の土砂災害の被災地でも採用されたワイヤーネットを施工中でしたが、砂防ダムを含め総合的な対策の早期整備が必要と考えられました。

その後、広島市安芸区畑賀の被災地に伺いました。ここでは、畑賀川が氾濫し、おびただしい数の河岸侵食が発生し、川沿いの家屋が被災していました。心配なのは、流下してきた土砂で下流部でも河床が上昇しており、早期の土砂撤去が必要と考えられました。

なお、同行いただいた檜山会長からは、今回の災害を踏まえ、建設分野において若者の確保を長期的視点で行うよう要請がありました。 また、具体的な課題として、市街地内の厳しい環境の中で施工が求められる砂防工事の歩掛りや労務単価の見直しを求められました。 こうしたご意見を踏まえ、今後入札契約の改善に向けた取り組みを進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

<広島県川尻地区・水道ポンプ施設>

   

<呉市天応地区>

   

<広島県坂町小屋浦地区>

     

<広島県坂町水尻地区>

 

<広島県坂町総頭川地区>

   

<広島市安芸区矢野東地区>

  

<広島県熊野町川角地区>

    

<広島市安芸区畑賀>