ラオス・ナムニアップダム視察

1月6日からの三連休を利用して、関西電力の執行役員で水力事業本部の吉津洋一副事業本部長にお声かけをいただき、東南アジアのラオスに伺い、関西電力が事業主体で、大林組が施工を担当して建設中の大規模発電ダム「ナムニアップダム」を視察しました。

このダムは、主にタイへの電力輸出を目的とした発電専用ダムですが、私が事務所長をしていた宮ヶ瀬ダムと同じく本ダムと逆調整ダムがあります。

本ダムは、高さが167m、堤頂長530m、堤体積230万?、総貯水容量22億?の巨大ダムで、「くろよんにチャレンジ!」を合言葉に、堤体上部をRCC工法で施工中でした。

ダム技術屋のよしみで、本ダムの打設面まで入らせていただき、現場を克明に見させていただきました。心から感謝申し上げます。

このダムの施工で採用しているRCC工法は、打ち込んだ硬練りのコンクリートを道路舗装のように振動ローラーで締め固める施工法で、宮ヶ瀬ダムの施工で採用したRCD工法をさらに合理化した施工法です。

具体的には、コンクリートの骨材の最大粒径を50mmと宮ヶ瀬ダムの1/3にし、セメント量も5割ほど増やして施工性を高めていること、外部コンクリートを別配合とせず、敷ならし後にセメントミルクを注入してバイブレータで締め固め水密性を高めていること、スロープ状にコンクリートを打ち込みコールドジョイントの頻度を減らしていること、コールドジョイントはグリーンカットをしたあとモルタルではなくセメントミルクを敷いて打ち継いでいること、堤体の上部ほどセメント量の少ない配合としていることなど、様々な工夫がなされていました。

このナムニアップダムは、日本の高い技術を示した世界に誇れる大変素晴らしい事業で、こうしたプロジェクトをもっともっとアジアで展開しなければならないと強く感じました。
また、この施工を見て、私も宮ヶ瀬ダムの時に技術的にもう少し大胆な工夫をしておけば良かったと、大いに反省をさせられました。

一方、ナムニアップダムの逆調ダムは、いわゆるラビリンス型の越流部を持つきれいなコンクリートダムで、高さは20mほどです。
本ダムが16時間のピーク発電をするため、下流への放流量を平準化するため設けられています。

なお、この逆調ダムの付近に、水没エリアで暮らしていた地元の少数民族モン族の皆さんの移転地が設けられていました。
モン族の村長さんにもお会いしましたが、この方々の移転、そして生活再建には関電さんも村長さんも大変ご苦労されたそうです。特に、関電の技術屋の皆さんが地域に入り込んで膝を突き合わせて移転計画をまとめていったそうで、地域の皆さんの信頼を得るまでのご苦労たるや、大変なものだったと拝察します。心から敬意を表します。

なお、余談ですが、現地でナムニアップダムの本ダムと逆調ダムのダムカードをいただきました。
ダムカードも国際的になったなぁと感慨深いものがあります。

別途、報告書を作成しておりますので、是非ご覧ください。

ラオス・ナムニアップダム視察報告