ラオス ダム視察

1月11日(土)~13日(月)、三連休を利用してラオスに伺い、日本の企業が工事を担当したダムのプロジェクトを視察しました。

2年ぶりに伺ったナムニアップダムは、東南アジアの大河川メコン川の支川ナムニアップ川に、 高さ 167m、堤頂長 530m、堤体積 230 万m³の重力式コンクリートダムと、出力 約 27 万 kW(主発電所)及び 2 万 kW(副発電所)の2箇所の発電所を建設するものです。
ダム本体は、私が事務所長をしていた宮ヶ瀬ダム(高さ 156m、堤頂長 400m、堤体積 200万m³)よりひとまわり大きい印象で、宮ヶ瀬ダムと同じく本ダム下流に逆調整ダムがあり、そこに副発電所が設けられています。
総貯水容量 22 億m³は、日本最大の貯水容量である岐阜県の徳山ダム(6.6 億m³)の 3 倍以上になります。
ナムニアップダムのプロジェクトは、日本の政府開発援助(ODA)によるものではなく、関西電力が筆頭株主となって実施する日本の企業が主体のプロジェクトです。主発電所の電気はタイ発電公社へ、副発電所の電気はラオス電力公社へそれぞれ売電することとされており、27 年間の売電契約期間終了後には、施設一式をラオス政府へ無償譲渡するBOT(Build–operate–transfer)方式の事業です。
ナムニアップダムは、大林組により2016年4月からRCC (Roller Compacted Concrete)工法でコンクリート打設を開始し、わずか3年半で本体工事を完了し、すでに発電所が運用を開始していました。
現場は、関西電力の水力事業本部水力部長の筒井さん、大林組土木本部顧問の藤田さんにご案内をいただきました。

ナムニアップダムに続いて伺ったのは、同じくメコン川の支川ナムグム川の既存の発電ダム、ナムグムダムです。
このダムは、日本工営の創設者の久保田豊さんが提唱して設計・施工管理を担当し、間組(現在の安藤ハザマ)の施工で1971年に完成した高さ 75m、総貯水容量が47億m³の巨大な重力式コンクリートダムです。
現在、発電所の増設工事を実施中で、日本工営や電源開発などのJVが設計・施工管理を行い、安藤ハザマが施工を担当していました。
発電施設の増設にあたっては、私が建設省の現場の課長として担当した秋田県の鎧畑ダムや、鹿児島県の鶴田ダムのように、堤体に孔を開けて放流管を新たに設置しており、日本独自の技術である「ダム再生事業」として実施しているもので、今回は削孔中の現場にも入らせていただき、切羽をこの目で見させていただきました。ありがとうございました。
なお、「ダム再生」をライフワークの1つとして推進してきた私としても、ラオスで日本の企業が日本独自の技術を活かして頑張っている姿に感激しました。
現場では、安藤ハザマの土木事業本部技術第三部長の藤田さんにご案内いただきました。

ラオスは輸出する資源に乏しい国で、発電は貴重な外貨獲得の手段となっており、日本の企業がそうした取り組みに大きく貢献していることに誇りを感じました。