足立としゆき夢だより【第104号】をお届けします

皆さん、こんにちは。
足立としゆきです。

西日本の記録的な豪雨により、河川の破堤や氾濫、内水による浸水、土砂崩れ、土石流など激甚な被害が発生し、歴史的な大災害となりました。
昨年の九州北部豪雨災害をはじめ、このところ毎年必ず激甚な水害・土砂災害が発生していることを考えると、やはり、地球温暖化に伴う気候変動の深刻な影響と考えざるを得ません。
気候変動に備えるためには災害の未然防止が重要であり、事前防災のための公共投資の拡大が不可欠です。私もその確保に頑張りますので、皆さんよろしくお願いいたします。

まず、今回の西日本の水害への対応状況についてご紹介し、そのあと簡単に最近の動向を紹介します。

【被災地調査】

7月15日(日)、岡山市に伺い、岸田文雄自民党政調会長、望月義夫衆議院災害対策特別委員長、地元の山下貴司衆議院議員、石井正弘参議院議員、小野田紀美参議院議員とともに、国土交通省で一緒に勤務した経験のある大森岡山市長と面会し、百間川放水路の整備が進んだことにより岡山の中心市街地を流れる一級河川旭川の氾濫が免れたこと、一方、下流から順次整備をしてきている砂川の中流部の未改修区間で大規模な浸水被害が生じたことなど市内の被災状況を説明いただくとともに、今後の要望を伺いました。

続いて、佐藤岡山県副知事と面会し、一級河川高梁川水系小田川などの深刻な被災状況、災害ゴミの発生状況、今後の要望等について伺いました。

次に、岡山市東区の砂川の破堤現場を訪れ、被害の状況や復旧の状況について視察させていただきました。

その後、岡山県議会の自民党県連の皆さんとの意見交換会に出席し、小田川改修や災害復旧の進め方等についてご要望をいただきました。皆さんからは、温暖化の影響を考慮して、原形復旧ではなく、できるだけ改良復旧を進めるよう強い要請をいただきました。

7月16日(月)、激甚な土砂災害を生じている広島県に伺い、岸田文雄自民党政調会長、望月義夫衆議院災害対策特別委員長、片山さつき参議院議員、地元の溝手顕正参議院議員、宮沢洋一参議院議員とともに湯崎広島県知事と面会し、JRや高速道路の早期復旧、災害査定の簡素化と円滑な査定前着工推進、必要な補正予算の編成等について要請をいただきました。私からは、随意契約を活用した早期着工をお願いしました。なお、県庁内に詰めている、これまで一緒に勤務したことのある内閣府の青柳一郎審議官や国土交通省の吉田邦伸事業総括調整官にも会いましたが、復旧・復興に頑張っていただいていました。

続いて、松井広島市長と面会し、民有地内堆積土砂の処理に当たって環境省所管の災害廃棄物処理事業と国土交通省所管の都市災害復旧事業の一体的運用、直轄砂防区域の拡張、原形復旧でなく改良復旧の推進などの要請をいただきました。

引き続き、東広島市に伺い、高垣市長や新谷正義衆議院議員の案内で、東広島市志和町の土砂災害の被災現場に伺い、一時孤立を余儀なくされた道路の確保を強く要請されました。また、黒瀬町の洋国ハイツ付近の土石流の被災現場に伺い、巨大な土石で埋塞した川の復旧と、流路が変わって被災した下水管及び道路の早期復旧を要請されました。なお、洋国ハイツの皆さんの避難場所にも伺い、岸田政調会長からお見舞いと激励のご挨拶をさせていただきました。

さらに、広島市南区丹那地区の土砂災害の被災現場に伺い、被災状況の説明を受けるとともに、岸田政調会長のぶら下がり取材に立ち会いました。

午後からは、再び岡山県に移動し、大きな浸水被害を受けた倉敷市真備町の小田川などの被災現場に岡山県建設業協会の荒木会長のご案内で伺いました。地元の国会議員で同期当選の小野田紀美参議院議員が同行されました。

真備町に入ると、ほとんどの家屋は二階まで浸水するなど大きな被害を受けていました。各家では、泥の除去や供給が回復した水道による洗浄、浸水で使えなくなった家財道具やゴミの持ち出しなどの作業が進められていました。なお、災害ゴミは道路沿いにうず高く積まれており、かなり改善されてきたとは伺いましたが、まだまだ大変な状況が続いていました。現場では、粉塵を心配していましたが、主要な道路には散水がなされており、改善が進んでいるようでした。
なお、小田川の直轄区間の破堤現場では既に堤防の仮復旧が終わっていました。現在は矢板の打ち込みをシステマチックに進めていました。そのスピード感には感心しました。

小田川の支川の末政川の破堤現場にも伺いました。もともと、小田川本川と同じ高さの堤防(バック堤といいます)を有する天井川の小さな川ですが、家屋がたくさん連なっている地域で左右岸とも堤防が大きく破壊されており、津波のようなエネルギーを有する氾濫流で、堤防沿いの家屋が流失したり、全壊していたり、大きな損傷を受けているのが見て取れました。

これまで、真備町の被災状況をテレビなどで見させていただき、浸水被害が中心だろうと簡単に考えていましたが、誤解でした。まるで津波被害のような破堤による壊滅的被害が随所で発生していました。

そんな場所で地域の建設業の皆さんが地元と調整して工事用道路を確保し、大型土のうを運び込み、堤防の復旧工事を進めていました。大変暑い中、頑張っておられる姿に頭が下がる思いでした。被災地の復旧、そして復興には、建設業やコンサルタント、測量設計業など建設産業の力が不可欠です。本当に大変な状況ではありますが、地域の再生のため、皆さんよろしくお願いいたします。

7月23日(月)、愛媛県に伺い、愛媛県建設産業団体連合会の西岡会長にご案内いただき、地元の参議院議員の山本順三先生、井原巧先生に同行していただき、被災地を回りました。なお、現地での説明は、四国地方整備局の植松河川部長、兵頭大洲河川国道事務所長、愛媛県の平野技術監に対応いただきました。

最初に訪れたのは、大洲市東大洲の一級河川肱川の浸水箇所です。直轄区間でありますが、既往最大の出水に対し、上下流の整備のバランスから一部暫定堤防として越流部を設けてある箇所から堤内側に大量に水が入り、二線堤として整備した市道も乗り越え、最大浸水深が4mを越えるなど大きな被害が出ました。
今後、鹿野川ダムの再生や山鳥坂ダムなどの整備とあわせ、どのような手順で対策を進めるのか、検討が必要と考えられました。

次に伺ったのが、直轄管理の野村ダムの「異常洪水時防災操作(ただし書き操作)」により大きな浸水被害を生じたダム直下の西予市野村町です。川沿いの家屋では二階まで浸水していましたし、大相撲の地方巡業で有名な乙亥(おとい)会館も大変深刻な被害を受けていました。なお、この地域ではボランティアの皆さんが、家屋の泥の除去や片付けに頑張っておられました。

野村ダムの管理所にも伺いましたが、今回の異常な出水に対する対応を教訓として、ダム湖が満杯になりそうな際に行う「異常洪水時防災操作」についてあらかじめ下流の住民に広く周知徹底しておくことが大事だと感じました。今後どのような改善策を打ち出すのか、検討を進めていただきたいと思います。

午後からは、深刻な土砂災害が発生した愛媛県宇和島市吉田町の被災地に伺い、国土交通省が管理している国道56号沿いの土砂崩れや地滑りの現場を、兵頭大洲河川国道事務所長のご案内で視察させていただきました。この区間は、7月16日(月)まで通行止めになっていましたが、国道の内陸側に国土交通省で整備した高速道路が供用しており、国道の通行止めの間も通行は確保されており、ダブルルートの効果を痛感しました。

続いて、土砂崩れで多数犠牲者が出た吉田町の沿岸部の土砂災害現場に伺いました。広島の土砂災害が花崗岩の風化したマサが崩れたものであるのに対して、この地域は砂岩が主体です。風化した表土はみかん山に利用されており、それらがいたるところで土砂崩れを起こしており、深刻な被害を発生していました。今後、どのような対策を講ずべきか検討が必要と考えられました。
なお、おびただしい量の災害廃棄物が発生しており、野球場や公園などを仮置き場として利用されていましたが、大変ご苦労いただいているようでした。災害ゴミの処理については、被災地共通の問題であり、環境省を中心にしっかり連携して地域が困らないような対応が必要と考えられます。

引き続き、愛南町一本松の被災現場に伺いました。ここでは小河川が氾濫して谷いっぱい水が流れたそうで、護岸がひどく被災していました。

7月24日(火)、今回の雨により5時間で300mmを超える集中豪雨を記録した高知県大月町に伺い、役場で岡田町長から被災状況と課題についてお話しを伺いました。その後、現地にご案内をいただき、土砂災害による被害の大きかった泊浦地区、橘浦地区に伺いました。
橘浦地区は小河川の河道の埋塞に伴って床上浸水が多数発生しており、狭い路地に苦労しながら地域の皆さんが総出で土砂や泥の除去、片付けなどをされていました。

続いて午後には、高知県大豊町に伺い、高知自動車道の落橋現場を訪れました。
ネクスコ西日本が管理している4車線の高速道路のうち、上り線2車線分の橋梁が、豪雨による大規模な土砂崩れに伴い落橋したもので、このような災害は私も初めての経験です。現地には、橋脚やアバットは残っていましたが、桁は遥か下の川まで落ちてしまっているとのことでした。
なお、高知道は私が四国地方整備局長として赴任した平成21年の前年に4車線化が完成しており、私も整備局長として、地域の皆様から交通事故の減少、信頼性の確保など4車線化の効果をよくお聞きしていた区間ですが、今回残った下り線を活用することにより、対面交通ではありますが現在通行を確保しています。高知道が止まると四国の物流が致命的な影響を受けてしまいますので、ネクスコ西日本の迅速な対応に心から感謝いたします。

今回の災害を見て、やはり重要な道路は4車線化しておく必要があると改めて思いを強くしました。日本の高速道路の38%が暫定2車線ですが、韓国の高速道路は100%4車線以上です。その他の先進国もほとんどが4車線以上です。こんなことではいけません。

7月25日(水)、今回の西日本の豪雨災害の際に大雨特別警報が発令された岐阜県に伺い、岐阜県建設業協会の佐竹会長や、かつて本省や四国などで一緒に勤務したことのある岐阜県河川課の井上課長にご案内いただき、被災現地の視察を行いました。

一級河川長良川の源流のひるがの高原では1000mmを超える累積雨量を記録しましたので、昭和51年の安八水害と呼ばれる長良川本川の破堤を生じた出水の再来となるのではないかと大いに心配しました。結果的には、岐阜市内の長良川の陸閘が久しぶりに閉鎖されるなどの対応はありましたが、破堤や氾濫など深刻な被害までは生じませんでした。
昭和51年以降行われた長良川河口堰や本川下流部の浚渫など、様々な河川整備が功を奏したものと評価されます。長らく長良川河口堰の建設に直接携わってきた者として、責任を果たせたことに安心しています。

岐阜県郡上市の和良川の被災現場では、越流はしていませんが、河岸が大規模に侵食され、県の事務所や診療所、老人保健施設などの立派な施設の基礎が洗われ、浮いた状態になっており、地元の建設業の皆さんにより応急復旧工事が進められていました。

続いて、下呂市のJR高山線の土砂災害の現場に伺いました。400mに及ぶ土石流により住家にも大量の土砂が入ったそうですが、すでに撤去されていました。高山線では下呂市金山町でも土砂災害が複数発生していますが、この地域はこれから観光シーズンを迎えますので早期復旧をお願いしたいと思います。

続いて、関市の長良川の支川の津保川の被災現場に伺いました。いたるところで氾濫した痕跡が残っており、沿川の護岸や床止め、道路、田畑が深刻な被害を受けていました。また、それだけでなく、沿川の住家も床上浸水が378戸、床下浸水が528戸と大きな被害を受けており驚きました。 マスコミの報道も、当時は極めて激甚な被害を生じていた広島、岡山、愛媛に集中していたため、私たちに情報が届かなかったのだと思いますが、マスコミ報道ばかりに目を向けていた我々の姿勢は反省しなければならない点だと思います。

この被災地でも、ボランティアの皆さんの支援により住家の泥の除去や片付けが行われており、感謝を申し上げます。今後、暮らしやなりわいの再生に向け、様々なキメの細かい支援が必要と考えられました。

今後、今回の豪雨災害を教訓として、再度災害防止を図りつつ、被災地の復旧・復興に全力で努めるとともに、全国的な点検を進め、今回と同様な被害が生じないよう早急に対応をお願いしたいと思います。私も、全力で頑張りますので、よろしくお願いいたします。

【国会関係】

7月20日(金)、午後10時で国会が事実上閉会いたしました。1月22日から延長を含め7月22日まで、実質182日間の国会でしたが、働き方改革関連法案などの重要法案を成立させることができ、大きな成果があげられたものと考えています。

なお、7月11日(水)、参議院東日本大震災復興特別委員会において、4人の参考人の意見陳述に対する質疑を行いました。
私からは、東日本大震災の被災地における復旧・復興に当たって、高速道路など交通ネットワークをはじめとする広域インフラの整備やまちづくりの重要性を訴えるとともに、東日本大震災の被災地において広域インフラ整備やまちづくり、除染、中間貯蔵施設の整備に当たって建設産業の皆さんが現地に留まって献身的に頑張っていただいていることを訴えました。
さらに、今回の西日本の大水害でも建設業や測量設計業など建設産業の皆さんが、崩れた土砂の除去、破堤した堤防や寸断された道路の応急復旧などの面で昼夜をわかたず頑張っていただいていることなどを訴えました。

【自民党関係】

今回の西日本を中心とする豪雨災害に対応するため、災害復旧のための予算を確保するとともに、治水対策・土砂災害対策など事前防災の拡充や地域を支える道路の強靱化などを進めるため、公共投資の拡大が不可欠です。

7月6日(金)、「日本の未来を考える勉強会」のメンバーで、安倍晋三総理に公共事業予算の拡大を要請しました。また、11日(水)には岸田文雄政調会長にも要請しました。

内容としては、10兆円規模の財政出動、当初予算として対前年プラス2.6兆円などを提案し、全国の高速道路整備の加速、豪雨対策など国土強靭化投資の加速などを訴えています。

なお、建設産業団体連合会の渡邉会長をはじめ幹部の皆様からも平成31年度当初予算の大幅増額と平成30年度補正予算の早期編成の緊急要望を、7月6日に二階俊博幹事長、竹下亘総務会長に対し行いました。私と佐藤信秋参議院議員が同席しました。

私としても、平成31年度の当初予算の増額と、平成30年度の大型補正予算の確保に向け、全力で取り組んでいく所存ですので、ご支援・ご協力をお願いいたします。

その他、自民党平成30年7月豪雨非常災害対策本部の会合、超党派の水力発電推進議連夏季総会のシンポジウム、国土強靱化統合推進本部の会合などに出席しました。

【都内の催し】

都内では、三遠南信道路建設促進同盟会総会、ダム協会の施工技術研究会総会、全日本トラック事業政治連盟の総会懇親会、神奈川・千葉・埼玉3県合同会議意見交換会、西脇京都府知事による予算説明会、東北治水事業に関する意見交換会、伊豆縦貫自動車道建設促進期成同盟会などの会議に出席しました。

【地方の催し】

7月12日(木)、柏市で建設省・国土交通省の大先輩で、河川局開発課で直属の上司でもあった橋本健さんの葬儀が執り行われ、参列いたしました。

7月21日(土)、長野県売木村の地域活性化イベント「Uフェス」に参加させていただきました。このイベントの企画・運営を担当しているのが、私の親戚(女性)というのがご縁ですが、素晴らしい音楽祭でした。
翌日、長野県売木村からの帰りに飯田市に立ち寄り地域おこしの取り組みを拝見しました。以前、地方創生関連の会議で雑誌「ソトコト」の編集長の指出さんから伺った飯田市の「週休いつか」という会社が運営している「裏山しいちゃん」という古民家をリフォームした複合施設や、古民家をリフォームしてアトリエや絵画教室の場として活用している「爆発芸術舎」を見させていただきました。いずれもユニークな施設でした。
売木村といい、この飯田市といい、若い力で新たな地域づくりや地域おこしの取り組みが行われており、大きな勇気をいただきました。ありがとうございました。

【建設分野のトピックス】

全国知事会は、7月18日、平成30年7月豪雨で西日本地方を中心に大きな被害が発生したのを受けて、小此木八郎防災担当相に緊急要望書を提出しました。要望書では、被災したインフラの応急復旧やハード整備による二次災害防止策などを進めるには、多くの費用と人材が必要になると指摘し、国による補正予算の編成などを求めています。また、26日、札幌で開催された全国知事会においても、平成30年7月豪雨や6月の大阪北部地震を受けて、各知事から防災・減災対策のさらなる充実強化を求める声が相次いだと報道されています。
私も、今回の災害を踏まえて、被災地は当然のこと、全国で事前の防災対策を進めるべきと考えており、今年度の大型補正予算の編成を各所に働きかけていきたいと思います。

皆さん、引き続きご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。