足立としゆき夢だより【第137号】をお届けします

皆さん、こんにちは。
足立としゆきです。

12月9日(月)、第200回臨時国会が68日間の会期を終え、閉会いたしました。

今国会では、国土交通分野の「港湾法の一部改正案」などの法案が14本、条約が2本成立しました。また、台風19号をはじめとする災害への対応に焦点が集まり、補正予算の編成の必要性などが議論となりました。
これを受けて、安倍総理から経済対策を含め補正予算を編成するよう指示があり、26兆円規模の経済対策が12月5日(木)、「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」として閣議決定されました。
内容的には、①一連の災害からの復旧・復興、②経済の下振れリスクへの備え、③東京オリンピック・パラリンピック後を見据えた景気活性化策、の3つを柱としています。なお、災害からの復旧・復興については、事業規模で約7兆円程度を見込んでいます。
年明けに予定される通常国会で審議され、補正予算として実施に移されると考えられますので、ご期待いただければと思います。よろしくお願いいたします。

ところで、11月25日(月)、国土交通省OBの仲間とともに「荒廃する日本 これでいいのかジャパン・インフラ」という本を、日経BP社から発刊しました。
日本の道路、治水・利水、下水道、港湾、都市などのインフラの現状を様々なデータに基づき分析し、日本のインフラが今や世界的にみて一流の域にはなく、二流・三流のレベルであると指摘するとともに、高度成長期に整備したインフラが一斉に老朽化して衰えていくことにも警鐘を鳴らしており、今後のインフラ投資の必要性を訴えています。
著者は、道路が深澤淳志さん、吉崎収さん、河川が森北佳昭さん、小池剛さん、野田徹さん、砂防が大野宏之さん、下水道が塩路勝久さん、港湾が松原裕さん、都市が高橋忍さんです。
なお、大手書店で販売されていますし、Amazonでも買えます。税込みで2,200円です。大量購入される際には我が事務所にお問い合わせください。
我々建設分野にとって、いずれも大事な課題でありますので、よろしくお願いいたします。

◯ Amazonサイトの「荒廃する日本」のページ

その他、最近の主な動向をご紹介いたします。

【国会の動き】

11月26日(火)、参議院国土交通委員会の委員派遣で、田名部匡代委員長や自民党の酒井庸行筆頭理事など16名の先生方とともに、茨城県神栖市の鹿島港の風力発電施設を視察しました。
海岸線に風力発電施設が10数基立ち並ぶ姿を初めて見ましたが、大変驚きました。また、直径127mのローターを持つ1基5000kwの深芝風力発電所にも伺いましたが、その威容にも大変驚きました。
なお、現地は国土交通省の高田港湾局長にご案内をいただきました。

11月27日(水)、参議院災害対策特別委員会の委員派遣で、杉久武委員長や自民党の長峯誠筆頭理事など10名の先生方とともに、台風19号により被災した長野市穂保地区の千曲川の破堤現場を視察しました。現地では、国土交通省千曲川河川事務所の木村所長から破堤の状況やその後の復旧工事について説明を受けましたが、仮の締め切り堤防や今後の本復旧のための矢板締め切りがすでに完成していました。

続いて、北陸新幹線の車両基地に伺い、基地内の被災状況や解体工事の始まった新幹線車両を見せていただきました。いろいろご苦労があったようですが、ようやく復旧が始まったという感じでした。
その後、長野県庁に伺い、阿部知事、加藤長野市長と意見交換を行いました。
私からは、10年ほど前に信濃川水系の河川整備基本方針を策定した際の本省の担当課長であり、千曲川本川が破堤するとは全く考えていなかったこと、今回の破堤については忸怩たる想いがあり、また申し訳ない想いもある旨お話ししました。
何とか1日も早く復旧・復興への道筋が見えて来るように関係の皆様に頑張っていただくようお願いしたいと思います。

その他、本会議、災害対策特別委員会、災害対策特別委員会の理事会、国土交通委員会、決算委員会に出席しました。また、欠席議員の差し替えで法務委員会に出席しました。

【自民党の動き】

11月25日(月)、参議院国土交通委員会の自民党筆頭理事の酒井庸行参議院議員とともに、台風19号により被災した長野県の千曲川沿川を視察しました。ご案内は長野県建設業協会の大月特任理事、北陸地方整備局の長谷川広域水管理官にお願いしました。

最初に佐久市に伺い、千曲川の河岸が侵食され、ニュースでも報道されましたが家屋が1棟流された原地区に伺いました。現地では、直轄の権限代行で北陸地方整備局が復旧工事を急ピッチで進めていました。
続いて、千曲川支川の滑津川の破堤現場を視察しました。県管理区間ですが、大量の土砂が農地に流入して大きな被害を生じており、さらには流下した氾濫流が下流の堤防を堤内地側から乗り越えて決壊させていました。茨城県の久慈川支川浅川や宮城県丸森町の内川・新川と同様の現象で、今回の水害の大きな特徴だと思います。
現場は、地元の長野県建設業協会の依田副会長、長野県佐久建設事務所の大瀬木整備課長にご案内をいただきました。

続いて、上田市に移動して上田電鉄別所線の千曲川橋梁の一部が落橋している現場に伺いました。千曲川の左岸堤防が大きく侵食され、延長200mの橋梁の一番西寄りのスパンが落橋しており、上田市の土屋市長や小林市議会議長、上田電鉄の山本社長から、早期復旧に向けた支援要請がありました。
堤防の応急復旧を担当した宮下組の石塚社長にも現地でご説明をいただきました。

引き続き、長野市に移動して穂保地区の千曲川の破堤現場に伺いました。
27日(水)にも委員派遣で伺った箇所ですが、破堤箇所はすでに緊急的な締め切り工事を終え、堤防の本格復旧に向け鹿島建設と大成建設という大手ゼネコンが施工した矢板締め切り工事が完了していました。しかし、破堤地点付近で被災した家屋や周辺農地はまだまだ復旧の途上でした。
また、北陸新幹線の車両基地を外部から見せていただきましたが、水没した車両の撤去工事が始まっているような状況でした。

11月26日(火)、高速道路の料金所撤廃に向けた議連立ち上げの打ち合わせ会に川崎二郎衆議院議員や伊藤忠彦衆議院議員とともに出席し、今後の方針について意見交換をしました。
続いて、与党技術士議員連盟の総会が開催され、参議院議長に就任された山東昭子前会長の後任の会長に渡海紀三郎衆議院議員が就任されました。

12月6日(金)、岸田文雄政調会長を訪問して、「荒廃する日本」を持参し、ご紹介させていただきました。とても興味深くご覧いただきました。

その他、参議院の議員総会や執行部会、幹事長室の副幹事長会議、政策審議会、不安に寄り添う政治のあり方勉強会、宏池会の例会などの定例会に出席しました。

また、国土交通部会、治水議連総会、ITS推進・道路調査会、生コン議連需要開拓小委員会の勉強会、東京オリンピック・パラリンピック本部「地域活性化推進小委員会」の役員会などの会議に出席し、大型補正予算や公共事業予算の確保などについて意見交換をしました。

さらには、世耕弘成参議院幹事長と同期当選のメンバーで構成する「二八会」の意見交換会に出席するとともに、「谷公一君を励ます会」に出席し立礼をさせていただきました。

【都内の催し】

11月28日(木)、日建連の山内会長、宮本副会長、押味副会長、山本事務総長、小池専務などによる来年度予算の大幅増額、今年度大規模補正予算の編成、令和3年度以降の公共事業予算の確保などの要望活動に同行し、赤羽一嘉国土交通大臣、青木一彦副大臣のところに伺いました。この成果の一端が閣議決定された経済対策だと言えると思います。皆さんのご支援をよろしくお願いいたします。

11月29日(金) 、水源地環境センター(WEC)の第20回技術研究発表会が開催され、その懇親会に出席してご挨拶をさせていただきました。
WECには平成7年4月から9年3月まで、研究第3部長として在籍し、水源地生態研究や環境アセスメントなどを担当し、貴重な経験を積むことができました。ご一緒に仕事をさせていただいた皆さんにも感謝を申し上げます。

12月2日(月)、鹿島建設の田代前副社長や国土交通省のOBの皆さんなど宮ヶ瀬ダムでともに本体工事を経験したメンバーが集まり昔話に花を咲かせました。

12月4日(水)、国土交通省の河川環境課のOB会である「環水会」に出席し、ご挨拶をさせていただきました。懐かしい仲間ばかりで楽しい時間を過ごすことができました。

12月6日(金)、建設業の全国の若手経営者の皆さんで構成する「建設青年会議」の第24回全国大会に出席し、赤羽一嘉国土交通大臣に続いてご挨拶をさせていただきました。
高野会長をはじめ大会の準備に奔走された皆さん、お疲れさまでした。これからのご活躍を心から期待いたします。
例年は大懇親会の方に参加させていただいていましたが、今年はそちらには参加できず、とても残念に思っています。来年はまたよろしくお願いします。

12月6日(金)、応用生態工学会の第8回セミナー「未来の環境を語り・考える会」において、「今後の国土づくりと環境」と題して約1時間講演をさせていただきました。我が人生を振り返るような内容の講演となりましたので、お声掛けをいただきました皆さんに心から感謝を申し上げます。WECの頃からお世話になっている森下郁子先生や阿部學先生、山崎享先生をはじめお集まりいただいた皆さんに感謝を申し上げます。ありがとうございました。

12月9日(月)、品確法改正に関する意見交換会に、佐藤信秋参議院議員、盛山正仁衆議院議員とともに出席し、官側の責務、民側の責務についてお話しした後、働きがいのある魅力ある産業となるよう官民挙げて頑張る必要がある旨ご意見を申し上げました。
なお、建設関連団体からは、日本建設業連合会の山内会長、全国建設業協会の近藤会長、全国中小建設業協会の土志田会長、建設産業専門団体連合会の才賀会長、全国建設労働組合総連合の勝野書記長、建設コンサルタンツ協会の高野会長、全国測量設計業協会連合会の野瀬会長、全国地質調査業協会連合会の成田会長にご出席いただきました。

その他、全日本トラック事業政治連盟の冬季懇親パーティー、全国道路標識・標示業政治連盟の意見交換会などに出席しました。

【地方の催し】

11月23日(土)、神奈川県清川村で開催された「第34回 宮ヶ瀬クリスマスみんなのつどい」に出席し、毎年恒例のクリスマスツリーの点灯式でご挨拶をさせていただきました。あいにくの雨ではありましたが、岩澤清川村長をはじめ多くの皆さんにお集まりいただきました。
このクリスマスツリーは、宮ヶ瀬ダム湖畔の水の郷地区に残ったモミの木をイルミネーションで飾り、「日本一のクリスマスツリー」と銘打って冬のイベントとして実施しているもので、例年たくさんの観光客を集めています。私が宮ヶ瀬ダム工事事務所長を務めていた平成4年当時、すでに始まっていました。
なお、現地へのご案内は宮ヶ瀬ダムのOBの上野さんにお願いしました。ありがとうございました。

11月24日(日)、大分市野津原町で開催された大分川ダム(ななせダム)の完成式典に、衛藤征士郎衆議院議員、岩屋毅衆議院議員などご地元の衆参国会議員の先生方や五道水管理・国土保全局長、村山九州地方整備局長、廣瀬大分県知事とともに出席し、ご挨拶をさせていただくとともに、くす玉開披を執り行わせていただきました。民主党政権下で一旦検証のためストップをかけられた事業ですので、その完成には感慨深いものがありました。
式典の前に、ダム湖周辺を見させていただきましたが、展望広場にあった「ダム式バンザイ」の顔ハメ看板には驚きました。また、現場で働いていた技術者や作業員の皆さんなど施工者の名前をアイウエオ順で記した銘板を設置した「志士達の足跡」という碑がありました。大変いいことだと思います。発注者も「ななせダム のつはる湖」の碑の裏に名前が並べて貼ってありました。なお、私たちが取り組んだ宮ヶ瀬ダムでは、発注者も施工者も同じパネルに名前を記しました。申し訳ありませんが、ちょっとした自慢話でした。
いずれにしても、ダムに限らずこうした取り組みをどんどん進めていただきますようお願いしたいと思います。
なお、ご案内は九州地方整備局OBの後藤さんにお願いしました。ありがとうございました。

12月1日(日)、兵庫県神戸市北区道場町に伺い、「千苅ダム治水活用工事起工式」に赤羽一嘉国土交通大臣、末松信介参議院国会対策委員長、加田裕之参議院議員など地元の先生方や井戸兵庫県知事、久元神戸市長、五道水管理・国土保全局長、井上近畿地方整備局長らともに出席し、一言ご挨拶をさせていただくとともに、地元の小学生とともに鍬入れを執り行わせていただきました。
千苅ダムは水道専用ダムですが、新たに夏季の3か月間、治水容量を確保できるよう改造する「ダム再生事業」によりリニューアルされます。武庫川の治水対策には、兵庫県庁出向時の昭和54年から2年間携わり大変心配しておりましたので、施工を担当する飛島・豊国工業の皆さんには早期整備をお願いしたいと思います。
なお、事前のダムの見学会に参加し、式典後に行われた「防災減災事業の推進に関する要望会」にも出席させていただきました。

12月8日(日)、長野県伊那谷の中川村に伺い、「美和ダム60周年 小渋ダム50周年 記念シンポジウム」に地元の宮下一郎衆議院議員、宮島喜文参議院議員、勢田中部地方整備局長とともに出席して、ご挨拶をさせていただきました。
私は、平成23年7月から1年2カ月、国土交通省の中部地方整備局長を務め、両ダムを担当させていただきました。今回の台風19号の折にも、両ダムがしっかり洪水調節効果を発揮しています。嬉しい限りです。

なお、シンポジウムに先立ち、台風19号により被災した国道361号の権兵衛トンネルの復旧現場を訪れました。長野県建設業協会伊那支部の唐木支部長にご案内いただきました。
現地では出水により橋台が崩壊し落橋しており、整備局が権限代行で24時間体制で復旧に頑張っていました。元々、整備局が権限代行で施工した大事な道路であり、1日も早い復旧を願っています。

【建設分野のトピックス】

国土交通省は、11月27日(水)、有識者会議「発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会」(座長・小澤一雅東京大学大学院教授)の下に設置した「維持管理部会」(部会長・堀田昌英東大大学院教授)の会合を開催し、工事の性格などに応じた入札契約方式の選択について方向性を示しました。
国交省は維持管理の中長期的な担い手確保の観点から、地域の状況に応じた適切な入札契約方式を選択することが重要との方向性を提示し、これまでの一般競争入札での応札状況などを踏まえ、競争参加者が少数と想定される場合には、指名競争・総合評価方式や随意契約を試行することとしました。
新たに試行する指名競争・総合評価方式は、一般競争入札を適用する予定価格6000万円以上の工事で少数応札(2者以上で少数)が想定される場合に限って運用されます。整備局ごとに地域の実情に応じた指名基準を作り、令和2年度の維持工事から試行できるよう検討を進めることになります。
指名競争の総合評価方式としては、施工体制評価点だけを技術評価点とする施工体制確認型を適用する考えで、地方整備局が地域要件に加え、災害協定や災害時の活動実績などを加味し指名基準を作成することになります。整備局の事務所で令和2年4月に始まる維持工事での試行を想定し、入札契約方式の選択肢の一つとして検討することになります。
将来増加する維持管理工事への対応の意味でも効率的な発注方式で、かつ、災害時の活動実績も加味する傾向は、素晴らしい取り組みと思います。地域で頑張っている企業がしっかり受注できるような流れに期待しています。