足立としゆき夢だより【第154号】をお届けします

皆さん、こんにちは。
足立としゆきです。

7月3日(金)から降り続いた梅雨前線による大雨で、熊本県南部を中心に激甚な災害が発生しました。その後も停滞する前線の影響で、岐阜県や長野県、島根県をはじめ西日本、中日本を中心に相次いで水害・土砂災害が発生し、17日(金)時点で70人を超える犠牲者が出る大災害となりました。
お亡くなりになられた皆様のご冥福を謹んでお祈り申し上げますとともに、被害にあわれた皆様に心からお見舞いを申し上げます。

また、新型コロナウイルスの影響下で、災害対応に全力であたっておられる警察・消防・自衛隊・海上保安庁などの実働官庁の皆様、国土交通省の整備局や運輸局の皆様、さらには現場の最前線で頑張っておられる建設関連産業や物流関連産業などの皆様に心から感謝を申し上げます。

さて、7月17日(金)、自民党の二階俊博幹事長、岸田文雄政調会長、鈴木俊一総務会長など主要な幹部がそろう総務会に代理で出席させていただきました。そこで、「経済財政運営と改革の基本方針2020(いわゆる骨太の方針)」や成長戦略、規制改革実施計画などが党として決定され、続いて、閣議決定がなされました。

皆様がご心配されていた国土強靭化に関する記載については、一連の豪雨災害を踏まえ、「激甚化・頻発化する水災害、切迫化する大規模地震災害、いつ起こるか分からない火山災害から国民の命と暮らしを守ることは国の重大な責務である」との考えを明記したうえで、「(今年度までの)3か年緊急対策後も中長期的視点に立って具体的KPI(数値)目標を掲げ計画的に取り組むため、国土強靭化基本計画に基づき、必要・十分な予算を確保し、オールジャパンで対策を進め、国家百年の大計として、災害に屈しない国土づくりを進める」とされました。原案からはかなり記載が充実し、大きな一歩ではあったと思います。
しかし、私としては、国土交通部会や政調全体会議で「新たな計画を策定し」と書き込むよう再三要請しましたので、そこまでの記載を勝ち取ることができず、申し訳なく思っています。これから秋・冬にかけての予算編成過程で攻防が激化すると思いますが、何とか、5か年計画を具体的な予算額も明らかにして策定したいと考えていますので、皆様のご支援をよろしくお願いいたします。

なお、「骨太の方針2020」では、当初記載のなかった国土交通省のTEC-FORCEについても、「TEC-FORCE等防災の体制・機能の充実・強化を図る」との記載が加わりましたので、制度の創設に携わった者として嬉しい限りです。また、東京一極集中を是正して地方の活性化を図る「多核連携型の国づくり」を目指すことや、地方都市の活性化に向けた環境整備、国内外でサプライチェーンの多元化・強靭化を進めることなども盛り込まれていますので、ご承知おきください。

◯経済財政運営と改革の基本方針2020
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2020/decision0717.html

なお、今回の水害・土砂災害を踏まえ、被災地の現地調査に行ってまいりましたので、ご報告いたします。

【熊本県南部被災地調査】

7月11日(土)から、梅雨前線による大雨で被災した熊本県南部を中心に、元国土交通省技監で東京大学教授の池内幸司さん、元国土技術政策総合研究所所長で河川財団河川総合研究所長の藤田光一さんらとともに現地調査に入りました。

最初に人吉市に入り、熊本県建設業協会人吉支部で、松村支部長から参議院議員の松村祥史先生とともに被災状況の説明を受けました。
その後、松村支部長や支部の幹部の皆さんのご案内で、甚大な浸水被害を発生した人吉市の中心街の九日町商店街や球磨川沿いの温泉街などを視察しました。ご地元の溝口県議も現地で合流されました。特に中心街の被災は著しく、5m以上の浸水により建物は二階まで被害を受けており驚きました。また、老舗の温泉旅館も水圧で川に面した側の窓ガラスが大きく割れて、大量の土砂が堆積するなど深刻な状態でした。
激しい雨の中ではありましたが、地域の皆さんが被災建物や被災家屋の片付けに全力で頑張っておられ、頭の下がる思いでした。

続いて、落橋した人吉市内の球磨川に架かる西瀬橋、国宝の青井阿蘇神社、中神地区の球磨川の破堤地点などに伺いました。
青井阿蘇神社は伝統のある建築物ですが、宮司さんによると楼門や拝殿が浸水するのは寛文8年(1669年)や正徳2年(1712年)の大洪水以来のことだそうです。
破堤地点は、人吉市の最下流で、通常破堤地点でよく見られる「落ち掘り」が発達しておらず、堤内地側の水位も相当高かったのではないかと考えられました。

続いて、人吉市の下流の球磨村に松村支部長や支部の幹部の皆さんのご案内で、松村祥史参議院議員とともに伺いました。球磨川沿川の県管理の国道219号や県道、鉄道、家屋等がいたるところで5mも浸水する猛烈な被害でした。甚大な被害が出た特養ホームの千寿園も国道から見ることができました。あらかじめ避難計画は策定されており、避難訓練も年2回行われていたということで、とても残念なことです。
なお、浸水した球磨村役場は、さくらドームという屋根付きではありますが吹きっさらしのゲートボール場にその機能を移しており、役場の職員や県の職員、国土交通省のTEC-FORCE、気象庁のJETTをはじめ各省のリエゾンの皆さんが頑張っておられました。そこでは松田県議からもお話を伺うことができました。孤立した集落から何とか避難してこられた方々も、続々と到着しておられました。

なお、球磨川と川辺川の合流点に位置する人吉市やその下流の球磨村がこれまでにない想像を絶するような激甚な浸水被害を受けているのを見ると、川辺川ダムがあれば被害を軽減できたのではないかと残念でなりません。川辺川ダムを前提とした球磨川の河川整備基本方針の策定を本省の課長として担当していた立場からすると、国土交通省でできるだけ早期に今回の豪雨災害について分析・検証し、八ッ場ダムの6,500万㎥の1.3倍ある川辺川ダムの8,400万㎥の洪水調節容量の効果を改めて評価し、抜本的な対策を打ち出して欲しいと思います。

この後、八代に移動し、建設業会館で中村八代市長から道路や橋梁の早期改良復旧、人員の派遣、球磨川の萩原堤防の強靭化などについてご要望をいただきました。

7月12日(日)、佐藤芦北支部長、野崎副支部長、平生副支部長にご案内いただき、熊本県津奈木町の土砂崩れの現場に伺いました。ご地元の荒川県議にもご同行いただきました。
3人が犠牲になられた津奈木町福浜の平国地区の現場に伺いましたが、山田町長に駆けつけていただき、警察・消防・自衛隊あわせて200人規模の捜索の状況を見させていただくとともに、深刻な被害の状況についてご説明をいただきました。
なお、現地ではありましたが、町長から、早期の激甚指定、仮設住宅の早期設置、災害廃棄物処理の支援などのご要望をいただきました。

続いて、佐藤支部長をはじめ幹部の皆様と芦北町に伺い、2人が犠牲になられた女島地区の土砂災害の現場に伺いました。流出土砂の凄まじさを、現地でご案内いただいた地元の川尻町議から伺いました。
その後、芦北町役場に伺い、竹﨑町長と意見交換を行い、早期の激甚指定、仮設住宅の早期着工、避難者への栄養バランスのとれた食事の提供、全道路の早期啓開、河川堆積土砂の除去などの要望をいただきました。
続いて、3人が犠牲になられた田川地区の土砂災害の被災地に伺いました。一瞬にして家屋をバラバラにした大規模な土石流のエネルギーのすさまじさに驚きました。

続いて、八代市に移動し、球磨川沿いの坂本地区の被災現場に中山八代支部長、小笹副支部長、高野副支部長らとともに伺いました。
球磨川沿川の国道219号は、路面から4~5mの高さまで洪水の痕跡が残っており、驚くような流量が流れたものと考えられました。また、路肩の崩れた国道219号を通って荒瀬地区の橋梁の前後が流出してしまっている現場にも伺いましたが、そこから先は通行止めで、国土交通省中国地方整備局のTEC-FORCEが被災状況を調査中でした。地元の皆さんからは、直轄の権限代行による復旧を強く要請されました。

その後、市街地に戻り、球磨川の弱部とも言われている萩原堤防を視察しました。以前より堤防の幅が広がり補強されたように思いました。
続いて、球磨川右岸の上流側の県道中津道八代線の道路の崩落現場を見させていただきました。そこも孤立を生んでいる被災箇所でした。

【岐阜県飛騨地方被災地調査】

7月15日(水)、岐阜県建設業協会の副会長で郡上建設業協会の前田理事長とともに、下呂市の被災現場を訪れました。
下呂建設業協会の今井理事長にご案内いただき、小坂町門坂地区で国道41号が約300mにわたって飛騨川による洗掘により流出した区間に伺いました。この災害により下呂・高山間の国道とJR高山線が通行止めになっており、地元からは早期開通が要請されています。
なお、現地で中部地方整備局の勢田局長、高山国道事務所の竹島事務所長にお会いしましたので、地整あげての頑張りに対してお礼を申し上げました。

その後、高山市役所において、國島高山市長、都竹飛騨市長、成原白川村長と今回の災害について意見交換をしました。
県からは、高山土木事務所の藤井所長、古川土木事務所の池戸所長、岐阜県建設業協会から前田副会長、大山高山建設業協会理事長が出席されました。
3自治体からは、JR高山線・国道41号の早期復旧、河川・道路の災害復旧の促進、防災・減災、国土強靭化の3か年緊急対策の継続実施などについて、3自治体から要望書をいただきました。

16日(木)、國島高山市長、藤井高山土木事務所長、岐阜県建設業協会の前田副会長、大山高山建設業協会理事長のご案内で、高山市丹生川町の土砂災害の現場に伺いました。
久手地区では土石流による大量の土砂流出により、家屋が一部被災していました。緩勾配の谷をまるで溶岩のように大量の土砂が流れて来たと、住人の方が話しておられました。
続いて、高山市滝町の生井川の被災現場に伺いました。土石流が発生し、対岸の家屋まで土砂、流木が襲っていました。被災したのは、建設業協会の会員の岩滝建設の兀尾(はげお)社長のご自宅でした。家屋は全壊とのことでしたが、幸い室内におられた方は奇跡的にご無事だったそうです。良かったです。

最近の動向は次のとおりです。

【国会の動き】

国会は閉会中ではありましたが、7月9日(水)に参議院の災害対策特別委員会の理事懇談会が開催され、内閣府の青柳政策統括官(防災担当)から熊本南部を中心とする豪雨災害について報告をいただき、それを踏まえ各党の理事が質疑を行いました。
私からは、八代市や芦北町など孤立集落の発生状況と解消の見込み、球磨川沿いの国道219号の直轄権限代行による復旧、高速道路の通行を確保している4車線化の効果、鉄道橋の復旧や災害ごみの処理への国の支援、携帯電話や固定電話の通信障害への対応などについて質問を行い、できるだけ早期の復旧をお願いしました。

【自民党の動き】

「骨太の方針」を議論する政調全体会議、国土交通部会、令和2年度豪雨災害対策本部、新型コロナウイルス関連肺炎対策本部、日本未来を考える勉強会などの会合に出席するとともに、宏池会の定例会に出席しました。