足立としゆき夢だより【第281号】をお届けします

皆さん、こんにちは。
足立としゆきです。

3月2日(土)、異例の土曜日の国会審議が行われ、令和6年度予算案が衆議院予算委員会で可決され、続いて衆議院本会議で可決され、参議院へ送られてきました。これを受けて、3月4日(月)から参議院予算委員会等で令和6年度予算案及び予算関連法案など日切れ法案の審議が始まります。
私が委員長を拝命している参議院財政金融委員会では所得税法や関税定率法などの予算関連法案の審議を行うことになります。これら法案の早期成立、そして令和6年度予算案の早期成立に向けて全力で取り組んで参ります。

さて、能登半島地震が発生してほぼ2ヶ月になる2月26日(月)~27日(火)、先月末の被災地調査に続き、石川県輪島市、志賀町、羽咋市、珠洲市、能登町に伺い被災状況を調査しました。また、それに先立つ25日(日)に、平成28年12月に大火に見舞われた糸魚川市にも伺い、大火からの復興街づくりの状況と、今回の地震による被害状況を調査しました。その概要をご報告いたします。

2月25日(日)、平成28年12月の大火から復興を遂げた糸魚川市に伺いました。
能登半島地震からの輪島市や珠洲市の復興にあたって、街のたたずまいを大切にした街づくりを進める際の参考とするため現地に伺ったもので、糸魚川市の米田市長、井川副市長、中村県議、新潟県建設業協会の鈴木糸魚川支部長等の皆さんにご案内をいただきました。
現地では、雪国の風物詩「雁木」を復元する街づくりや、災害復興住宅についても、2〜3階の低層の木造建築にするなど、かつてのイメージを残した風情ある街づくりが行われていました。なお、復興に際しては国等から手厚い人的支援、土地区画整理等の公的支援を受け、復興ができたとのことでしたので、輪島市の朝市通りや珠洲市の街並みの再生でも大いに参考になるものと考えます。

2月26日(月)、輪島市、志賀町、羽咋市に伺いました。
まずは、輪島市の鳳輪建設業協会の会館に伺い、二俣副会長、輪島建設協同組合の竹林理事長、刀禰理事から輪島市の被災状況と協会の対応状況について伺いました。この会館は、火災に見舞われた地区に隣接していますが、なんとか延焼からは免れており、そこで説明を伺いました。
続いて、市の東側で大規模な土砂災害が発生し一時通行止めとなっていた国道249号の稲船町の現場に伺い、その後、輪島市役所に伺い、坂口市長から現状と今後の課題についてお話をいただきました。市長からは、地元建設業界の頑張りに対する感謝と御礼、仮設住宅建設の遅れに対する懸念などについてお話しをいただきました。

その後、市内中央通りのビル倒壊現場をはじめ市街地の被災状況を視察しました。私の両親も被災した阪神淡路大震災の被災地を彷彿とさせるような倒壊状況で、建物被害の深刻さに驚きました。
続いて、地震後に大火に見舞われた朝市通り周辺の被災現場を、輪島市商店街連合会の高森会長にご案内いただきました。こちらは、さらに被害が凄惨で、300戸を超える家屋が、まるでウクライナの爆撃の被災地のような状況に変わり果てた姿に愕然としました。なんとか、もとのたたずまいを感じることができる街並みに再生するため全力で頑張らないといけない、そう決意を新たにしました。

次に、大火に見舞われた地区に隣接する石川県漁協の輪島支所に伺い、漁港の被災状況を中村運営副委員長にご説明いただきました。4m近い海岸の隆起により防波堤で囲まれた漁港が使えない状況で、大規模な浚渫を行うか、港を港外に移設したいとの要望をいただきました。
続いて、海岸沿いのマリンタウンで海岸線の隆起の状況と仮設住宅の整備状況を調査させていただきました。仮設住宅は海に近く、津波浸水区域にもあるため、ブロックを積んで嵩上げがなされていました。

次に、行方不明者の捜索活動が続いている輪島市南部の市ノ瀬地区の大規模土砂災害現場に伺いました。山頂付近からかなり大規模な土砂崩落を起こしており、直轄の権限代行で応急復旧作業が行われている一方で、警察の皆様が建設会社の協力を得ながら懸命に行方不明者の捜索活動を行っておられました。

続いて、輪島市門前町に伺い宮下県議、門前建設業協同組合の畠山代表理事、宮下建設の宮下社長、旭重機工業の西川社長、安藤・間の伊藤土木営業部長にご案内いただき、被災して覆工コンクリートが崩落して通行止めとなっている中屋トンネル、町内の家屋の倒壊現場、回廊などが倒壊した總持寺祖院などを調査するとともに、鹿磯・黒島漁港など海岸の隆起状況などを調査させていただきました。海岸の隆起は顕著で、港としての機能を失っている箇所が多数ありました。

続いて、羽咋市に伺い羽咋郡市建設業協会で岸羽咋市長、稲岡志賀町長から現状と課題についてお話をいただき、液状化対策や道路整備についてご要望をいただきました。なお、建設業協会の南会長、寺井副会長、小倉副会長にもご同席いただきました。

2月27日(火)、前日の輪島市等の調査に続き、珠洲市、能登町の被災状況の調査に伺いました。なお、元北陸地方整備局長の野田さんにご同行いただきました。
まず、珠洲市に伺い、昨年5月の震度6強の地震の際にも訪問した泉谷市長にお会いし、現状と課題などについてお話をいただきました。石川県建設業協会の中市副会長、珠洲建設業協会の明星会長、大濱専務理事にご同行いただきました。なお、市長室には、国土交通省から能登半島地震市町支援チームの専門家として派遣されている河川環境課の舛田技術調整官にもご同席いただきました。調整官は市役所に駐車しているキャンピングカーで寝泊まりしているとのことでした。
市長からは、道路の復旧などを権限代行で国が行うことになったことへの感謝のお言葉をいただきました。一方で、水道の復旧が3%と厳しい状況にあること、そのあとに必要となる下水道の復旧にも懸念があることなど指摘がありました。

その後、石川県建設業協会の中市副会長、珠洲建設業協会の明星会長、大濱専務理事などの皆さんのご案内で、被災現場を視察しました。
まず、国道249号大谷トンネル付近の被災現場に伺いました。大谷トンネルは、覆工コンクリートが崩落するという大きな被害が出ていました。トンネルの被災は珍しく、熊本地震の際に県道熊本高森線の俵山トンネルが被災したのと同様の被害と考えられました。
続いて、大谷トンネルの海側に位置する国道249号烏川大橋(大谷ループ橋)の被災状況を視察しました。PC構造の橋梁本体に大きな損傷は見られませんでしたが、東側のアバット部が大きく崩落していました。
また、橋の上からは、外浦の隆起の状況も良く見えました。これまで海面上に出ていた部分は黒く、海面下であったところは白いので、隆起したエリアの広さがよくわかりました。

続いて、活断層が地表面に表れ、約3mの段差を生じている地点に立ち寄りました。段の上の建物は損傷はあるものの原形をとどめていました。いずれにしても段差を生じた際の動きを考えると、地震のエネルギーの大きさに驚きました。

次に、飯田港付近の地震津波による被災現場を訪れました。津波は防波堤を乗り越えて襲ってきたようで、海側の家屋は津波により残骸となって流され、あたり一体で大きな被害が出ていました。なお、昨年建設された新たな建物は流されず残っており、今後の復旧にあたってのヒントがありそうに感じました。

続いて、東部沿岸部の三崎町寺家地区に伺いました。この地区では地震発生後まもなく津波が押し寄せ、海沿いに建ち並ぶ約40世帯の住宅が被害を受けていましたが、同地区では国土交通省等の日本海の地震・津波の調査検討結果を踏まえて作成されたハザードマップをもとに高台の集会場を避難場所として毎年欠かさず避難訓練を行い、地震の際の行動を確かめていたそうで、その成果で今回の津波の際にも犠牲者は出なかったとのことでした。国土交通省の地震・津波の検討に、水管理・国土保全局長として着手した私にとっては、嬉しい話でした。

その後、南部の珠洲市宝立町の被災現場を訪れましたが、ほとんどの家屋が地震津波により深刻な被害を生じており、痛々しい状況でした。
なお、観光名所でもある軍艦島とも呼ばれる「見附島」にも伺いましたが、昨年5月に見たときに比べてもさらに大きく崩壊し、とても小さくなってしまっていました。

続いて、珠洲市から南に進み、能登町白丸地区の津波と火災の被災現場を調査しました。海岸堤防のない白丸地区では地震が発生してから 2度にわたって最大5mほどの高さの津波が押し寄せ、沿岸部の家屋が大きな被害を受けましたが、地震、津波だけにとどまらず大規模な火災も発生して深刻な状況となっていました。

その後、能登半島地震からの復旧・復興に向け、国土交通省が権限代行などで行う復旧・復興事業を迅速に進めるために七尾市内に2月16日に設置した「能登復興事務所」に立ち寄り、杉本所長にお会いして今回の調査について報告し、情報を共有させていただきました。

なお、前回の1月31日(水)の調査も踏まえて、能登半島地震からの復興に向けて、今後必要と考えられる施策として、①のと里山海道や珠洲道路の高規格化など災害に強い道路づくり、②輪島市など街並みの再生にあたってかつてのたたずまいを残した街並みの再生と家屋の耐震化の徹底、③地震により隆起して機能を喪失した港湾や漁港の機能回復、④津波からの防御のための防波堤等の施設整備、⑤一部損壊等も対象とした被災住宅の再建支援などが必要と考えます。今後、関係省庁の担当者の皆さんと一緒に取り組んでいきたいと思います。

以下、最近の動向を報告します。

【国会の動き】

3月2日(土)、衆議院で令和6年度予算案が可決され参議院に送ってこられ、3月4日(月)から参議院における予算審議が始まりました。

【自民党の動き】

2月28日(水)、自民党の国土交通部会が開催され、「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案」、いわゆる品確法の条文審査が行われ、質疑の結果、部会長一任をいただきました。

その後、全国建設業協会の奥村会長が、設計労務単価のアップに関して、品確議連の根本会長のところに御礼のご挨拶に来られました。私も、同席させていただきました。

その他、国土交通部会、財政政策検討本部、参議院の政策審議会などに出席しました。

【都内の動き】

2月28日(水)、建設現場で活躍するいわゆる鳶職の皆さんで構成される「関東連合会若鳶会」の研修会が自民党本部で開催され、顧問を仰せつかっている私から「インフラの再生なくして、日本の再生なし」と題して、能登半島地震の視察報告を含めて講演をさせていただきました。お話しをさせていただくチャンスを与えていただき、感謝を申し上げます。

2月29日(木)、駐日インド大使館から、シビ・ジョージ大使(Mr. Sibi GEORGE, the Ambassador of India to Japan)、デブジャニ・チャクラバルティ経済公使 (Ms. Debjani CHAKRABARTI)が、財政金融委員長への表敬訪問にお越しになり、日印経済協力について意見交換をさせていただきました。
大使からは、現在建設中のムンバイ・アーメダバード間の新幹線をはじめインフラに対する円借款について、引き続き日本の支援について要請を受けました。
私からは、インドは岸田内閣でもパートナーとして大変重要視しており、引き続き連携の強化に努めるとともに、日本の強みである交通インフラや道路インフラをはじめ、ダム等の水資源開発、治水対策・土砂災害対策などの面で、しっかり支援を続けて行きたいとお話させていただきました。

3月1日(金)、ダム建設を担当する組織として平成13年3月まで存在していた建設省河川局開発課のOB会である「開友会」の総会が開催され、陣内孝雄元参議院議員、脇雅史元参議院議員とともに出席してご挨拶をさせていただきました。会長は元河川局長の竹村さんです。
私は、昭和56年4月から3年間、平成2年4月から2年半、トータルで5年半在籍しました。昭和58年の企画調整係長の際の直属の上司の課長補佐が脇雅史先生でした。また、平成4年当時の直属の上司の調整官が竹村さんでした。
この課は、私を育てていただいた思い出深いとても愛着のある課です。

その他、会長を務めている海岸協会の理事会に出席しました。

【地方の動き】

2月24日(土)、松山市で開催された「国道56号松山外環状道路空港線(余戸南IC~東垣生IC)開通式」に出席しました。国土交通省OBで四国クリエイト協会松山支所長の赤松さんにご同行いただきました。
今回、開通する余戸南IC~東垣生IC間は、私が四国地方整備局長の平成21年当時から関わってきた延長2.4㎞の区間で、国道56号を立体交差でオーバーパスして停車することなく通過できるようになり、市の中心部へ流入するクルマの分散が図られることから、渋滞の解消や物流の効率化、観光振興に大きく寄与するものと期待されています。
式典には、国土交通省道路局の岸川次長、四国地方整備局の佐々木局長、松山河川国道事務所の菊地所長、愛媛県の中村知事、沿線期成同盟会の野志松山市長始め沿線の市町長、議会の皆様がご出席で、私も地元の塩崎彰久衆議院議員、井原巧衆議院議員、長谷川淳二衆議院議員、山本順三参議院議員などの国会議員の先生方とともにご挨拶をさせていただきました。
なお、愛媛県建設業協会の西岡名誉会長、井原会長をはじめ施工業者の皆さんにも多数ご出席をいただきました。ご配慮いただいた佐々木局長はじめ整備局の皆さん、ありがとうございました。

続いて、開通する松山外環状道路上に場所を移して、開通セレモニーが行われました。地元の余戸小学校生や余土地区の皆様の日招太鼓の演奏と、松山市立西中学校のブラスバンドの演奏により開通を盛り上げていただきました。
その後、国会議員、県知事や沿線の市町長とともにテープカットとくす玉開披が執り行われ、引き続き「通り初めのパレード」に参加させていただきました。
以前担当させていただいた道路が開通し、当時一緒に仕事をしたメンバーとともに喜ぶことができて感無量でした。

3月2日(土)、北海道の厚真町で開催された「平成30年北海道胆振東部地震による厚真川水系砂防事業完成式」に、新千歳空港から国土交通省OB の関さんにご同行いただき出席しました。
平成30年9月6日の地震発生直後の12日には、当時自民党政調会長だった岸田総理に同行し、ご一緒にむかわ町の被災状況を視察させていただきました。政調会長は予定があってその日のうちに東京に戻られましたが、私は翌日厚真町の被災地に伺い、吉野地区の数百メートルにわたる山腹崩壊や富里地区の水道施設の被災状況、厚幌ダム、厚真ダムの被災状況を見させていただき、その被害の凄まじさに愕然としたことを覚えています。
なお、式典に先立ち、国土交通省厚真川水系砂防事務所の吉田所長、北海道苫小牧出張所の中瀬所長のご案内で被災地の復旧状況を視察させていただきました。移動のバスの中で、宮坂厚真町長から被災時の状況についてご紹介をいただき、当時の状況をまざまざと思い出しました。

完成式典には、衆議院での令和6年度の予算案の可決の関係で土曜日まで審議が行われたため、国会議員については岩本剛人参議院議員と私のみの出席となりましたが、国土交通省からこやり大臣政務官、柿崎北海道開発局長、草野砂防部長、北海道庁から鈴木知事、関胆振総合振興局長等、ご地元から宮坂厚真町長をはじめたくさんの関係者が出席され、私もお祝いのご挨拶をさせていただきました。なお、その他にも施工いただいた建設産業の皆様にもご出席いただきました。頑張って復旧に取り組んでいただいた皆さま、ありがとうございました。
なお式典は、地震により多くの方がお亡くなりになられたので赤いリボンではなくグレーのリボンで厳粛に行われました。
式典修了後には、竣工記念碑の除幕式が執り行われ、私も除幕に参加させていただきました。5年という短期間でここまで復旧できたことに、国土交通省の皆さん、北海道の皆さんに心から感謝を申し上げます。

【事務局からのお知らせ】

2月28日(水)、国土交通省から「令和6年度 国土交通省土木工事・業務の積算基準等の改定」が公表されました。
現場実態を踏まえた土木工事標準歩掛かりや設計業務等標準歩掛かりの改定、現場管理費の見直し等に加え、働き方改革の推進を目的とした週休2日の補正係数の新設、完全週休2日に対する加点措置、現場環境の改善に向けた実施要領の策定などの施策が盛り込まれていますので、ぜひご活用いただければと思います。よろしくお願いいたします。

[国土交通省サイト]令和6年度 国土交通省土木工事・業務の積算基準等の改定https://www.mlit.go.jp/report/press/kanbo08_hh_001070.html